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趣味や旅の記録など

タイランド 30年前の旅の思い出を辿る - 3-

 チェンマイ

 高木君と別れて、夕方ごろ、バスに乗ってバンコクを後にした。カオサンロードから出発したのか、バンで別の場所まで行ってからバスに乗ったのか憶えていない。途中のトイレ休憩の時、日本人らしき男性を見かけた。眼鏡を掛けたぽっちゃり系の人。チェンマイに到着して声をかけ、一緒にゲストハウスを探すことになった。名前を憶えていないので佐藤さんと呼ぶことにする。

 佐藤さんもトレッキングに行くと言うので、二人でツインの部屋を取って、そのゲストハウスで翌日からのトレッキングの予約をした。このゲストハウス、名前も憶えていないし、ロケーションすら分からない。大きなゲートをくぐってすぐ左側に受付があり、その奥は広い敷地で、その周囲を宿泊施設が囲んでいるような感じだった。泊まっていたのは、入って左奥の二階。小奇麗で、シャワーは共同。ナイトマーケットまでと、トゥクトゥクに声を掛けたら、すぐそこだから歩いて行きなと言われたことから、ナイトマーケット周辺であったことだけは確か。『歩き方』に付けられた印からすると、Chumphoi Guest Houseだったかも知れない。30年近く前のことだから、今はもうなさそうだ。探してみたが、それらしき施設はなかった。

 トレッキングのメンバーは、日本人は佐藤さんと二人、東ドイツ人男性2名とルーマニア人女性名。佐藤さんは年上だったはずだから、当時社会人だったのだろうか。市内からソンテウで山の方に移動し、トレッキング開始。今なら、スマホを持っているから、GPSでどの辺りなのかも分かるものを、当時は地図もなし、地理感覚も方向感覚もなし、訳もわからず、ガイドさんに付いて行くだけ。ガイドさんとは別にもう一人、小柄な男性が同行していた。彼の姿格好からして、恐らく少数民族だったと思う。

 山道を歩いて山間の平地についた。ちっとした小屋があり、その前には遊具があって、小学校跡のような雰囲気だった。そこからの景色は新緑の山々だけだ。今夜はここで一泊するらしい。シャワーはないので、この先の谷に流れている川で水浴びをするよう言われた。水浴びの道具も持ち合わせていなかったので自分はパスしたが、佐藤さんは水浴びに行って、気持ちよかったらしい。

 翌日も山道を歩き、途中で広い川に立ち寄った。女性陣は水着を持参していたが、東ドイツの男性二人は恥ずかしがることもなく、全裸で水に入って行くのには大変驚いた。我々日本人二人はと言うと、さすがに脱げず、着衣のまま膝まで浸かる程度にした。

 途中、象に乗って山道を進む区間もあった。一頭の象の両脇に一人ずつ、象の首に一人、合計三人を乗せた象が列をなして山道を歩く。乗り心地はお世辞にもよいとは言えなかったが、途中、象が前を歩く象に発情するというハプニングもあって場が盛り上がった。

 最後の夜は山岳民族の小学校にも立ち寄った。子供たちがセパタクローをしていたのを眺めていた。当時、日本人では馴染みのないスポーツだったと思う。

 翌日、山間を歩いた後、ちょっとした川に到着。竹の筏が用意してあり、これで川を下るという。そう、これがバンブーラフティングだ。記憶が定かではないが、暫くの間、川下りを楽しんだはずだ。

 全行程における食事はガイドが作る。食事の内容は基本的に炒め料理だったと思うが、太いキュウリを輪切りにして油で焼いて食べた記憶があり、この時にこの食べ方を覚えた。

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バンコクに戻ってから買ったセパタクロー

 このトレッキングで忘れられないのは、山奥で見た満天の星空だ。流れ星も何度も見かけた。こんな山奥だから空気がとても澄んでいたんだろう。今まで一度も見たことのない美しい星空だった。